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【Einstein DiscoveryによるAI案件マッチングを実現】M&Aキャピタルパートナーズ株式会社様インタビュー

事業継承や成長戦略に悩む中堅・中小企業のオーナーへの選択肢の一つとして、M&Aを提案し、仲介サービスを提供しているM&Aキャピタルパートナーズ株式会社様。着手金をいただかずお相手先との基本合意まで無料なため、すべてのオーナー経営者様がM&Aを検討することができるという特徴を持っています。

今回Praztoでは、M&Aキャピタルパートナーズ様がご活用中のSalesforceの改修のご支援を行いました。改修では「Record Hunter」「CRM Analytics」の構築と、さらに「Einstein Discovery」を用いたAIでのM&Aマッチングシステムを導入。なぜこの3点の開発・導入をおこなったのか、またAI活用で目指す未来を、Prazto代表取締役の芳賀が、今回のプロジェクトを担当されたM&Aキャピタルパートナーズ株式会社 営業企画部 企画課の栁瀬開様にお聞きしました。

●栁瀬 開(やなせ はるき)様
M&Aキャピタルパートナーズ株式会社 営業企画部 企画課
上智大学卒業後、大手シンクタンクに入社し、主に大手金融機関に対するSalesforce開発/運用保守業務に従事。M&Aキャピタルパートナーズに参画後、Salesforceを中心とした効率化・最適化をITの観点から促進する。

●芳賀 怜史(はが さとし)
株式会社Prazto 代表取締役
早稲田大学を卒業後、SIer、外資系マーケティング会社、Salesforceゴールドパートナー企業と3社の経験の中でエンジニアリングを通じて多くのお客様の課題解決を行う。「伴走型のSalesforce導入支援によるお客様への価値の提供、エンジニアリングを通じたオーナーシップのあるキャリアの創出」この両立を実現する事業を展開する株式会社Praztoを創業し独立。創業から現在に至るまでリードコンサルタントとして従事。多くのSaaS企業のSalesforce組織の構築において、Salesforce組織のあり方の討議から実装までを一気通貫でご支援し成功に導く。

●宮本麻由
株式会社Prazto 執行役員 管理部門統括
大学卒業後、金融機関にて個人営業を担当。その後、医療機器系商社にて営業事務や法務等のバックオフィスとしての経験を積む。社内システムの入れ替えや業務プロセス改善に取り組む中でITへの関心を持ったことや、より幅広い業務に携わりたいという思いから、2022年4月Praztoに参画。現在は法務・営業事務・広報・総務・内部統制など幅広いコーポレート業務を担当。
2023年7月より執行役員 管理部門統括

■Salesforceに蓄積された顧客データを活用するべく、改修に着手

芳賀:御社は既にSalesforceを導入されていましたが、これまでどのように使われていたのでしょうか?

栁瀬:主に顧客管理システムとして使用していました。取引先や案件の管理、そしてユーザーの活動・収益管理をメインで扱っており、データをSalesforceという“箱”の中に貯めていた状態でしたね。

芳賀:譲渡企業、譲受企業の両方のデータを入れて、効率的にマッチングするということも行っていたのでしょうか?

栁瀬:どちらの企業様のデータの蓄積はしていたのですが、活用するフェ―ズまでは至っていませんでした。譲渡企業と譲受企業のマッチングは、社内の営業部隊であるM&Aアドバイザーの知見を活用していました。ですので、M&Aアドバイザー間でしかノウハウが貯まらない状況で、マッチングにはかなり労力がかかっていました。今回の改修を皮切りに、データを活用した効率化に取り組んでいます

2023年のSalesforce World Tour Tokyoでは本システムのご紹介でご登壇されておりました。
弊社としてもとても嬉しいです!

■ユーザーの労力削減のため、検索機能強化と操作性にこだわった

芳賀:今回の改修では、「Record Hunter」「CRM Analytics」「Einstein Discovery」といった検索機能をかなり強化させていただいたと感じていますが、その意図について教えていただけますか?

栁瀬:M&Aアドバイザーの労力削減のためです。これまでの弊社のSalesforceの使い方は、譲渡企業が「会社を譲渡する」となった時に、案件が作成されます。その後、案件に対してどの譲受企業が良いか、アドバイザーが自分の知見や仲間の知見、さらには社内で行っている“マッチング会議”を活用していくつかの譲受候補企業を探し、案件に結びつけていました。

極端な例となりますが、一つの案件に対して、わざわざ他の案件を見に行って「こういう譲受企業があって、こういう譲受ニーズがあるよね」と話し合うという、かなり人力に頼った業務フローだったのですが、今回「Record Hunter」の検索機能を導入したことで、案件のページ上で、その案件にふさわしい譲受ニーズをもつ企業を探すことが可能になり、そのまま譲受候補先としてすぐに案件に紐づけて登録することができるようになりました。

芳賀:特に御社はSalesforceの操作性にこだわってらっしゃる印象もありましたが、その点にも課題を抱えていたのでしょうか?

栁瀬:弊社は、M&A案件を抱えれば抱えるほど、一人あたりの業務量が非常に膨大となる特性があったので、操作性では少しでもストレスを減らしたいという想いがありました。M&A仲介事業者という特質上、非常にセンシティブな情報も扱っていますし、慎重にプロジェクトを進めないとなりません。また、しっかりお客様にとって有益な情報を調べた上で提案していくため、どうしても業務量が多くなってしまいます。だからこそ一つ一つのシステムにおいて、画面の遷移が遅かったり、一つのページ内に情報がまとまっていなかったりすると、ユーザーであるアドバイザーにとって、とてもストレスになってしまうのです。そのストレスを感じさせないために、画面の操作性には気をつけていましたね。

Record Hunter、CRM Analytics、Einstein DiscoveryによるAI検索のすべてをフル活用して 効率化を実現

■AIには、納得度と意外性を両立した提案を期待

芳賀:今回「Einstein Discovery」というAI検索機能を導入しましたが、あえてAI検索を入れようと思った経緯を教えていただけますか?

栁瀬:営業活動精度向上のためです。当社のアドバイザーには優秀なメンバーが集まっています。優秀なアドバイザーとAIを掛け合わせることで、客観的なデータに基づく譲受企業の提案もできて、営業活動精度が向上、結果的に売上向上にもつながると考えています。

芳賀:今後、AI検索ではどんな点に期待していますか?

栁瀬:やはり“自明な結果ではない譲受企業の提案”に期待しています。案件に対して自明過ぎる提案は、すでにアドバイザーはわかっていることになりますよね。だからといって想定外な譲受先を提案するのではなく、データによる適切な理由に基づいた譲受候補先の提案がほしいですね。アドバイザーにとって納得度もありつつ意外な発見があると、システムに対して信頼性が出て、社内でもよりSalesforceの活用が推進される状況が生まれるかと思います。

芳賀:では「CRM Analytics」の検索機能には、どういった効果を期待していますか?

栁瀬:情報を跨いだ検索ができる点がメリットであると感じています。やはりSalesforceの中ではデータが分断されている都合上、検索の操作性が悪い弱点もあり、ユーザーからもデータ同士を連携させた検索がしたいという要望がありました。CRM Analyticsによりデータが連携されることによって、そういったユーザーの要望も実現できると感じています。ただ、CRM Analyticsは操作が難しい点もあるので、ユーザーが操作するのではなく、私たちIT部門側でユーザーの課題を抽出し、データの元を作る想定です。ユーザーは見ただけ直感的に操作できるようなデータを整えるまでが、我々の仕事でもあると思っています。

芳賀:なるほど。やはり御社はユーザーである現場と栁瀬さんはじめとしたSEが伴走しながらシステムを構築されているからこそ、現場のニーズにマッチしたシステムとなっていると感じます。今後も現場と一緒にシステムをブラッシュアップしていくということでしょうか?

栁瀬:そうですね。私自身、前職でSIerにいたからこそ感じるのですが、システム改修やDX化成功のポイントは、IT部門のユーザーへの理解度に比例する傾向があると個人的に感じていました。

元々営業でユーザー側だった方がIT部門を担当するとシステム的な知識が弱かったり、逆にシステムには詳しいけれどユーザーの業務内容に知識がなかったりすると、ユーザーに寄り添ったシステムがつくりづらいんですよね。なので、IT部門の私の立場としては、しっかりとユーザーにヒアリングをして業務理解を深めた上で、ユーザーが本当に期待していることを実現しなければなりません。するとユーザーの行動が改善され、生産性も上がり、売上に直結できるのだと思います。

芳賀:そういう意味ではSalesforceはノーコードでドラック&ドロップで改修できる点で、IT側の方、現場側の方の両社にとってPDCAサイクルが回しやすいメリットもあるかと感じます。

栁瀬:確かにそうですね。Salesforceは気軽に改善、変更がしやすいです。特に弊社のような社員150名ぐらいの規模感の会社ですと、スピード感が非常に重視されるので、Salesforceはとても便利でマッチしていると感じています。

■短納期&CRM AnalyticsやEinstein Discoveryへの知見が決め手で、Praztoに発注

芳賀:社内にも栁瀬さんをはじめとしたITチームがいる中で、今回あえて弊社に改修を依頼いただいた理由を教えていただけますか?

栁瀬:芳賀さんがおっしゃる通り、今回の開発も社内でやろうと思えばできました。ただ、やはりスピード感を重視したかったので、外注した経緯があります。弊社としては、システム開発自体が目的なのではなく、1社でも多くの成約実績をつくりあげることが目的なので、いち早く目的を達成するためには、スピード感が重要です。でも、今の弊社の体制は、IT部門のメンバーが多いわけではないので、スピード感を持って開発することが難しい部分があります。

短納期で開発をしていただけるベンダーさんを求めていたので、Praztoさんに依頼しました。また、CRM AnalyticsやEinstein Discoveryに知見があるベンダーさんが少ない中で、御社はむしろそこを強みとしていたので、お願いした経緯があります。

芳賀:実際に改修支援を行わせていただき、Praztoのご評価はいかがでしたか?

栁瀬:こちらの要望、要求もしっかりと整理していただき、それに対する回答をいくつかの選択肢をご提案していただけたので、とてもスムーズにプロジェクトが進行したと感じています。

芳賀:ご評価いただきありがとうございます。逆に苦労した点はありましたでしょうか? 率直なご意見をお願いします。

栁瀬:もちろん、御社の開発力・技術力の高さは評判通りでした。ただ、M&A業界の業務フローを理解いただく点にはお互い苦労したかなと感じています。改修にあたり前提となる部分のすり合わせができていなかったため、課題感がうまく伝わらなかったこともありましたよね。

プロジェクトが走り出してから、こちらから適宜業務フローのインプットを行い、理解していただいたので、その後は比較的スムーズに進行できたと思っています。

芳賀:「検索」「マッチング」という言葉だけで開発を進めてしまって、当初はうまく御社の要望に沿うことができなかったという反省点はあります。その際にご指導いただいたことで、御社の業務をしっかりと学べたので、結果的に深くご支援ができたと感じています。

栁瀬:そうですね。中盤以降はとてもキャッチアップが早く、どんどん業務理解をしていただいた印象でした。

■今後もAI有効活用のための伴走支援を希望

芳賀:今後、Salesforceにどのようなことを期待していますか?

栁瀬:「CRM Analytics」とAI検索の「Einstein Discovery」を特に活用していきたいと思っています。Salesforceにデータは蓄積されている状況なので、今度はいかに有効活用するかが我々のミッションです。なので、そのためにもまずはデータを完璧な状態にするべく、ユーザーのITリテラシーの向上やデータ入力の徹底という基盤も整える必要があります。その上で「CRM Analytics」とAI検索の「Einstein Discovery」をうまく活用する。ユーザーにとっての利益も伝えていけるようにシステムを構築したいと思ってます。

芳賀:AI検索も結局データがなかったら意味がないですし、データが蓄積されているという点は御社の大きな強みですよね。弊社もご支援することでAI検索の価値を実感できていることは、技術者としてありがたい限りです。

栁瀬:御社には、今後もAIの有効活用について伴走を期待しています。やはりAIにどんなデータを学習させるべきかという点は、技術的な専門的知識が必要になってきます。その点について今後もサポートいただきたいですね。

AIの精度をより上げていく上で、CRM Analyticsの活用についても引き続きサポートいただけると嬉しいです。より良い効果をユーザーに提供することで、売上にも繋げていきたいですね。

芳賀:ちなみに、現在は“譲渡企業と譲受企業をマッチングさせる”ことにAIを活用していますが、他のAIの使い方は考えていらっしゃいますか?

栁瀬:欲を言うのであれば、Salesforceに貯まっている企業情報から、「この会社は将来的には譲渡を検討される可能性が高い」「比較的譲渡を検討していますよ」と、譲渡意思のありそうな企業について確度まで提案してくれれば嬉しいですかね。業務フローの中でも、譲渡企業を探すことに膨大な労力をかけているので。そもそもどの企業に当たるべきかを整理し、何千社とある候補企業に電話をかける営業活動をしているので。

あとは電話営業の音声データを学ばせることで、会話の内容から「この企業は今譲渡意思はないけれど、実は譲渡ニーズを抱えている」という傾向なども出せたら良いなと思います。

芳賀:たしかに電話の内容をキャッチアップしてデータ学習をさせて、潜在的な譲渡企業の発掘や、譲渡意思が高まるような電話対応がわかるのは、面白いですよね。弊社としてもSalesforceを組織がより活用してくれて、そのようなデータ基盤になってくれたらとても嬉しいです。

栁瀬:まだまだ夢物語な部分はありますが(笑)。AI活用をすることで、ユーザーがもっとコア業務に集中できる環境をつくりたいと思っています。ノンコア業務と呼ばれる部分をAIに任せることで、お客様に対する提案に集中できる環境ですね。今後も御社にはAI活用のサポートいただき、生産性向上、組織の売り上げアップに繋げてきたらいいなと思います。

■株式会社Praztoについて
Praztoは、Salesforceを中心としたSaaS導入における企業課題の解決を力強く支援する「SaaS導入コンサルティング事業」を中心に展開しています。
あらゆる分野のSaaSが市場に普及するなか、適材適所なSaaSをどのように配置・構成するか、どのようにカスタマイズするかが、お客様のビジネスを加速させるためにとても重要になってきています。
我々Praztoは、お客様のビジネスパートナーとして一緒に課題発見をして、それを解決するコンサルティングチームです。

■会社概要

社名:株式会社Prazto
本社:東京都渋谷区渋谷2-24-12 渋谷スクランブルスクエア39階
代表者:代表取締役 芳賀 怜史
設立:2019 年
URL:https://www.prazto.com/



 (構成:菱山恵巳子)